お彼岸にすべきこととは?

知っておきたい

「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、今年も秋の彼岸が近づいてきました。

この暑さももうすぐ終わるかな・・・

 

さて、そんなお彼岸ですが「なんとなく墓参りする期間だと思ってるけど違うの?」という人も多いと思います。

そこで、今回は「彼岸」について詳しくまとめてみました。

今年(2019年、令和元年)の秋の彼岸はいつ?

今年の秋の彼岸の日程はこうなっています。

9月20日(金)・・・彼岸入り

9月23日(月・秋分の日)・・・中日

9月26日(水)・・・彼岸明け

春のお彼岸は「春分の日」を中日としてその前後3日を含む7日間、

秋のお彼岸は「秋分の日」を中日としてその前後3日を含む7日間となっています。

 

ちなみに2020年のお彼岸は、下記の日程です。

春:3月17日(火)〜3月23日(月)

秋:9月19日(土)〜9月25日(金)

2021年以降は決まっていません。というのは、毎年2月に翌年の祝日が確定するからです。

ですので、現時点(2019年9月)では2021年以降の「春分の日」「秋分の日」が決まっていない、つまり2021年以降のお彼岸の日程もきまっていないんです。

お彼岸が春分の日や秋分の日を基準に決められている理由は後ほど解説します。

お彼岸って何をする日?

国民の祝日に関する法律(いわゆる祝日法)によると、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」とされています。

とはいえ、実際にお彼岸に何かしなければいけないという決まりはありません。あえていうなら「お彼岸とは自然やご先祖に対して、自分が生かされていることを感謝する」でしょうか。それに関連して、仏壇仏具の清掃やお墓参りをすると良いです。

仏壇仏具、お墓をキレイにする

彼岸入りの日には、いつもより丁寧に仏壇仏具をきれいにしましょう。

この機会に、普段なかなか行けなかったお墓参りや納骨堂参りをする方も多いですね。

 

お墓参りにしても、いつもより丁寧にお墓の清掃をしたりするとよいでしょう。

亡くなった方やご先祖様へ思いを馳せる時間を持つことも大切です。

 

ちなみにお彼岸の期間でお墓参りの日としてベストなのは、中日である春分の日や秋分の日です。

しかし、この日は霊園や納骨堂が混雑するおそれもあるので前後にずらしても問題ありません。

お供え物のお菓子について

お彼岸用のお供えのお菓子といえば「ぼたもち」「おはぎ」が定番ですね。

ところでこの2つの違い、ご存知ですか?

 

・・・答えは、「どちらも同じもの」です。

呼び名の違いは、それぞれの季節に咲く花に由来しています。

 

「ぼたもち」は、「牡丹餅」と書きます。

つまり春の彼岸に咲く牡丹の花を型どって作ったからぼたもちと言うのです。

 

一方「おはぎ」は「お萩」です。

秋の彼岸に咲く萩の花を型どって作られます。

 

また、ぼたもちやおはぎに使われる小豆は赤い色をしていますね。

赤は「邪気を払う」色として古くから信じられてきました。

ぼたもちやおはぎを食べることで、悪いものを入れないようにしていたようです。

 

ぼたもちやおはぎ以外には、落雁(らくがん)という砂糖を型に入れた食べ物が人気です。

お彼岸にお供えする花について

特に決まりはありませんが、一般的に淡い色で清楚な印象のお花・・・白ユリや菊、カーネーションなどが人気です。

本数は奇数(3、5、7本)が好まれます。

相場は3,000円~5,000円です。

 

トゲやツル、毒のある花は避けましょう。

なぜお彼岸は春分の日、秋分の日を基準に決めているのか?

これには諸説ありますので、いくつか紹介します。

太陽が真西に沈むので、極楽の世界を拝むことができる

ご存知のように、春分の日と秋分の日には昼と夜の長さが同じです。

なのでこの日は、太陽が真西に沈みます。

 

西には極楽浄土があるとされているので、沈んでいく太陽が極楽浄土の目印になります。

そのため、太陽が真西に沈む春分の日・秋分の日にお参りするのは縁起が良いと考えられています。

春分の日・秋分の日は仏教の中道(ちゅうどう)を表している

仏教には、「中道」(ちゅうどう)という教えがあります。

何事においても、偏るということは執着するということ。

その執着を捨てて正しい判断をすることが仏の道につながるとされています。

 

そして、春分の日・秋分の日は昼と夜の長さが同じです。

これが偏りのない「中道」につながる、ということで春分の日・秋分の日にお墓参りをする習慣ができたという説があります。

お彼岸は日本独自のイベント

「彼岸」という言葉の由来はインドですが、現在日本で行われているいわゆる「お彼岸」は日本独自のものです。

 

というのも、もともとの「彼岸」に日本古来から行われてきた「日願」(同じく「ひがん」と読みます)が合体してできたのが、今私たちが「お彼岸」と呼ぶ風習なんです。

ややこしいのですが、以下で「彼岸」と「日願」について詳しく見ていきます。

彼岸とは?

インドのサンスクリット語に「パーラミター」という言葉があります。
「パーラミター」とは、「最高の状態」や「彼方へ行った」という意味の言葉です。

仏教ではこれを「悟りの境地に達する」と解釈しました。

 

つまり、仏教を信仰する者が到達すべき目標をパーラミターと考えたのです。

 

さて、パーラミターという言葉が中国に伝わると「到彼岸(とうひがん)」と訳されました。
「彼方(=あちら)の岸に到達する」という意味です。

 

現世に生きる私たち凡人は「此方(=こちら)の岸」である此岸(しがん)にいるとされ、まだ悟りの境地にはいません。

此岸と彼岸にはとても大きな河があり、修行によってその河を渡るのだと考えたのです。

 

そうして到彼岸という言葉が日本に伝わってきました。ここに日本の慣習が混じっていきます。

日願とは?

日本では、昔から田植えの始まる春分の日に豊作を天照大神(あまてらすおおみかみ=太陽)に祈願する風習がありました。

これを「日願(ひがん)」といいます。

・・・そう、「彼岸」と同じ読み方ですね。

 

この「日願」に「彼岸」が合わさることで日本独自の「お彼岸」ができ、ご先祖さまをお祭りする行事に代わっていったのです。

ちなみに平安時代には「お彼岸法要」が行われていたという記録も残っています。

※「お盆」と「お彼岸」の違いとは?

先ほど、お彼岸はご先祖をお祭りする行事に変化したと書きました。

ご先祖をお祭りする行事と言えば、「お盆」がありますよね。

この「お盆」と「お彼岸」はどう違うのでしょうか?

 

お盆は日本に古くからある祖先信仰と、仏教が合わさってできたものです。

なのでお彼岸とは成り立ちが少し違っていますね。

 

ですがもっと大きな違いは、お彼岸は日本だけの行事ですが、お盆は日本以外でも行われているということです。

中国・韓国・台湾などでも時期は違えどお盆は行われているんです。

 

ちなみに中国では、専用のお金を燃やしてあの世でお金を使えるようにするという風習があります。

パーラミター=「波羅蜜」

先ほど出てきた「パーラミター」は漢字で「波羅蜜」と書きます。歴史に詳しい方なら京都にある「六波羅蜜寺」というお寺を思い浮かべたかもしれませんね。

 

実はこの「六波羅蜜」は、仏教で悟りを得るための6つの修行を意味します。その6つとは次のようになっています。

波羅蜜 意味
布施(ふせ) 見返りを求めない施しをする
持戒(じかい) 規律を守り、己自身を戒める
精進(しょうじん) 絶えず努力する
忍辱(にんにく) すぐに怒らず、耐え忍ぶ
禅定(ぜんじょう) 心を落ち着かせて反省する
智慧(ちえ) 上の5つを踏まえて物事の道理を見極める

 

お彼岸の期間は中日にお墓参りをして、残り6日間でこれらの修行を1日1つずつやっていきましょう・・・と書いているサイトもありますが、もちろんやるやらないは自由です。

ただ、こうしたことを知っておくことでお彼岸に対する見方も変わったのではないでしょうか。

まとめ

私自身もよく分かっていなかった、お彼岸の由来についてまとめました。

いろいろ書きましたが、ぶっちゃけて言ってしまえば亡くなった方やご先祖様を偲ぶなら形にこだわる必要はありません。

 

お花にしても、故人が好きだったお花を添えることに問題はありませんから。

大切なのは偲ぶ気持ちだということを忘れないでくださいね。